お仕事に時間を取られてブログの更新が進まず。今後はあまり内容の濃さにはこだわらずにコンスタントに更新できるようにしたいところです…
ドレーキップ窓のハンドルの互換性について調査した記事です。
欧州窓の金具は欧州デファクト規格?
さて先日、某木製サッシメーカーの営業所にお邪魔して、木製サッシの気密機構や金物の選択肢等について話を伺ってきました。
本ブログの各種記事にて言及しているとおり、私は一介の施主としてはまぁまぁ勉強して知識をつけた部分があると思っており、その上で疑問に感じていたことをヒアリングしたので、「普通の建て主の人にこんなマニアックな話はしたことが無い」とも言われました(笑)
そこで聞いた話の1つ。
ドレーキップ窓(ツーアクション窓)は、YKK APもLIXILも、その機構部品をフルスクラッチで新規に起こしているわけではなく、欧州のメーカーやそのOEMのメーカーから技術導入を受けているようなのです。
このため、金具の寸法等については、欧州製品と共通している部分が多いようなのです。(確認を取ったわけではありません。伝聞ベースの傍証です)
そもそも欧州モノの高性能サッシには、コンポーネント的な志向があります。
「〇〇製のガラスに△△製の金具、□□製のハンドルを使って組み立てました」
といった具合ですね。
(日本の木製サッシメーカーの業態もこれにならっており、特に金属部分はほとんどが欧州ブランドの輸入品です)
こうした欧州製のサッシパーツは、多様な組み合わせに対する適合性を高めるため、わりかし規格化が進んでいることがわかります。
一方、日本の大手メーカーは全国各地に工場をもち、大量生産による徹底的な効率化を図っていますから、基本的には他社のパーツとの互換性はありません(知った範囲ではそのような事例は聞いたことがありません)。
しかし、少なくともドレーキップ窓に関しては、その原則から外れているかもしれないということです。
YKK APのAPW ツーアクション窓
YKK APのAPW ツーアクション窓は、いわゆる「角軸」タイプのハンドルで、ハンドルの軸が四角柱のシャフトになっているようです。
"Tilt and Turn Handle" などというキーワードで検索するとワンサカでてくるのがこのタイプですね。("Tilt and Turn" は "Dreh Kipp" の英訳)
こちらの記事によれば軸径は7mm、シャフト長さは32mm, 38mm, 44mmがメジャーのようです。
クロムメッキ、金色など、シャレたハンドルが沢山出回っているようなので、興味のある方、ぜひ試してみて頂けませんでしょうか(笑)
LIXIL エルスターのドレーキップ窓
LIXILのエルスター ドレーキップ窓は、ハンドルの取り付け台座の部分にカムのような機構が入っており、ハンドルを回すと金具が上下にスライドする形になっています。
この金具はLIXILオリジナルなのか?もっとシャレっ気のあるハンドルに交換できないのか?とがんばって探してみると…
ありました。
ドイツの金具メーカーSiegenia社のアルミサッシ「LM4200」用のハンドルです。
細かい寸法はもちろん測ってないですが、固定ネジの位置関係、スライダーの先端形状など類似点ばかりで、ほぼこれに間違いないのでは。
ちなみにGU社等の他の金具メーカーも、同様の機構のハンドルをラインナップしているようで、スライダーの先端のみ交換することで多くのメーカーに対応できる互換品も発売されているようですね。
LIXILは評価されるべきかもしれない?
LIXILは、ドレーキップ窓を発売するにあたり、メジャーな角軸タイプではなく、あえてアルミサッシ用のハンドルを採用したということになるのですが、この理由を考察してみると興味深いです。
LIXILのエルスター ドレーキップ窓は、他のライバルメーカーのものよりもフレーム(框、障子の枠部分の見付け)が細く仕上がっておりスタイリッシュです。
また、美観上の話だけではなく、一般的にはガラス部分よりフレーム部分のほうが熱抵抗が低いので、フレームを細くしてガラス面積を大きくとるほうが、窓全体としての断熱性は高くなります。
このアドバンテージは、「ハンドルの回転動作を金具のスライド動作に変換するカム機構を、フレーム内部ではなくハンドル側に設置した」という工夫が効いていると言えるでしょう。
つまり、エルスターは樹脂サッシでありながら、欧州基準で言うところのアルミサッシ並の寸法までフレームを細身に追い込んできたとも言えます。
これはひとえにLIXILの企業努力の賜物であろう、とも言いたいところですが…
LIXILのドレーキップは、(日本より一足先に高性能サッシの普及が進んでいる)中国韓国から安価に買い付けてきてるっぽいよ、と業界筋の人が言っていたことも一応付しておこうと思います(笑)
ウチの引き渡しが終わったら、ハンドル交換にチャレンジしてみようと思います。乞うご期待(?)