賃貸住宅の自宅を高断熱化するDIYについての記事です。
今の家の性能の低さを思い知る
新築の計画を通して、住宅の快適性に関する勉強をしていると、現在住んでいる賃貸住宅の性能の低さがことさら気になってきます。
先日、Twitterの住宅設計界隈で、こんな記事が話題に上がりました。
冬のエアコン設定温度を25℃にするか27℃にするかで夫婦でモメている、という内容です。
住宅の温熱設計に詳しいRaphael設計の神長さんに言わせれば…
Google Discoverで記事を観たけど、夏の話かと思ったら冬だった
— 神長宏明(Raphael設計)夢より素敵な家づくり (@raphael_project) 2020年12月26日
ラファエル設計の設計しているQ1.0住宅はエアコン設定冬20℃~21℃
夏は27℃前後で住まい手は超快適と言ってます
夏は冷房つけっぱで月2000円~3000円前後
室温画像は設定温度20℃
記事、外気温6℃で27℃設定のACは家の性能悪すぎ pic.twitter.com/IP0n0jWodw
「夏の話かと思った」とのこと。
つまり、そんなにエアコンの温度を上げないといけない時点で家としてヤバいだろという趣旨です(やや曲解)。
…ただ、私としては身に染みて理解できる問題です。
我が家は築30年のRC造の賃貸マンション。窓はもちろん単板ガラスのアルミサッシです。
深夜の屋外最低気温が5℃以下くらいになると、エアコンの設定をたとえ29℃まで上げても、室内温度は21℃あたりで収束します。しかも、いわゆるコールドドラフトが起こっているのでしょう、室内の温度の偏りも大きく、窓の周辺の床の温度は18℃くらいから上がりません。
それでいて、湿度もカラッカラの30%台に突入するので加湿器をつけて対策するわけですが、3ℓのタンクは一日でカラッポ。
翌朝の窓はこんな感じです。
住宅の省エネ性能をはかる基本条件
いわゆるエコハウスとか、高性能住宅、高気密高断熱住宅とか呼ばれる界隈では、室内を所定の環境に保つための冷暖房の負荷を計算し、省エネ性能の優劣を競っています。
このとき、「室内温度20℃、湿度50%」という条件が、冬場の理想的な室内環境の一例として、半ば統一された指標となっています。
ということは、この「室内温度20℃、湿度50%」の環境をそもそも作り出せない家というのは、性能の優劣をつけるスタートラインにすら立てていないわけです(笑)
これでも古い無断熱の一戸建て住宅よりはずいぶん快適であろうとは思いますが、ようするにRCの集合住宅でもこんなもんです。
この家で暮らす最後の1年になるとはいえ、ちょっとなんとかしたいなと思っていたのですが…
にわかに湧き上がるプラダンDIYのモチベーション
年の瀬の大掃除で、とある物品を発掘しました。
2019年(令和元年)に本州を直撃した大型台風を覚えている方も多いと思います。
特に東日本・東海地域を襲った台風19号の際は、窓ガラスの飛散防止策に関する情報も沢山出回っていましたね。
我が家は、ホームセンターでプラスチックダンボールを調達し、窓の外側に張り付けて対策を取りました。上記リンクのアイリスオーヤマ製だと、1820mm*910mmの大きさで1枚あたり1000円くらいです。
台風が去って出番がなくなったプラダン君、我が家の冷蔵庫の袖壁の隙間に差し込まれて眠っていたわけですが…
もしやプラダンで寒さを多少なりとも防げるのではないかと思い、寝室の窓に立てかけてカーテンで押さえてみました。
すると…
なんとなく暖かいではないですか!
じゃぁちょっと本気出して据え付けてみよう、ということでDIYに走り始めました。
調子に乗って内窓みたいな形にしようと思い、ホームセンターに繰り出してみると、最近は内窓の自作用パーツなんて売ってるんですね。
9000円くらいでフルセット売りまでしていましたが、まぁ出費は押さえて必要性の高いものだけつけてみようということで、上下のレールとプラダンの枠カバーのみ購入。
上下レールはアルミ製のものが多かったですが、ここは高性能サッシを意識して樹脂(硬質塩ビ)製のものをチョイスしました(笑)
この硬質塩ビは、自転車のカーボンコラムやカーボンシートピラーを切るために買ったハンドソーでカット。
謎の取っ手までつけてみたりして(笑)
細かいところでネタに走れるのがDIYのいいところです。
効果は?
効果は明らかにあります!てき面です!
エアコンの設定温度を5℃も下げて(25℃→20℃)、朝までグッスリ眠ることができました。
湿度も50%を維持できるため、毎朝の喉のカラカラもありません。
妻も信じられないといった様子で、窓の断熱性の重要性を実感しています。
気密処理も重要
しかし、結露は無くならずビッショリでした。
これは、加湿器で加湿された部屋の中の空気が、内窓の隙間を通って、アルミサッシやガラス面まで達することが原因だと思われます。
ということで、ここでちょっとした気密施工をしてみることにしました。
戸先や引違い召合わせ部に、気密パッキンとすきま風防止テープを張ってみると…
おお!こんなに適当な対策でもそれなりに効果がある!
加湿器のタンクの中身が2日も持ちます!これは感動だ!
プラダンをつけるだけで、件の「室内温度20℃、湿度50%」の環境が一応ではありますが作り出せました。
1月に入ると東京でも夜間の外気温が氷点下になりますが、さすがにそこまでいくと結露しました。
といっても、内外気温差20℃で室内湿度が50%ですと、最新のアルミ樹脂複合サッシでも結露すると言われていますからね。下記は松尾設計室の松尾さんの記事です。
結露耐性を向上させる策としては、
- もっとしっかりパッキンをめぐらせて自作サッシの気密性を上げる
- 換気計画を改造して、アルミサッシの隙間風を積極的に室内に引き込むことで室内の空気がアルミサッシに近づくのを防ぐ
などが思い浮かびます。色々と実験できることはあるので、ちょくちょくやってみようと思います。
もっとも、ちょっと頭の中で思考を巡らせると「湿気のない密閉空間を区画し、露点温度(結露が生じる温度)をその区画でまたぐように温度勾配を設計する」という形態が理想的であることに気がつき、それ市販のペアガラスやないかという結論に達して勝手に関心しているのですが(笑)
また、家の他の部分も、時間をみつけて断熱性の向上を図ってみようと思います。
まずは鉄製の玄関ドアをなんとかするか…