家づくりラプソディー

家づくりラプソディー

延床23坪の注文住宅を建てた経緯や暮らしの紹介。理屈っぽい話題多めです

23℃は寒い

建物の断熱性能に関連して、快適性は自分で想像・検証することを推奨するという趣旨の記事です。

前回の記事からの続きです。

23℃で寒いところ

さて、何らかの暖房機器を使用するにしても、真冬に全室くまなく23℃を維持できる住宅というのは、温熱的にはかなりよくできた、快適性の高い家だと言って差し支えないと思います。
しかし、私には「23℃では快適とは言えない」と感じたシチュエーションがありました。これらは個人の温熱感覚や暮らし方によって印象がまちまちである一方、家を建てるまでもなく自分で確認できる事ですので、どのように補ったり回避したりするかを事前に検討することをおすすめしたいです。

トイレの便座

「トイレの便座暖房は、暖かい家には不要」 

という言説を見聞きされたことのある方も多いと思います。そうした発信をする方は、まぁその人がそう感じたのでしょうから殊更否定するものではありませんが、あくまで使用する人自身のお尻具合で判断すべきです。

 

他に熱源がない場合、23℃の部屋に置かれた便座の温度は23℃です。

ぜひ一度、あなたのお尻ほっぺに所望の温度(例えば23℃)のプラスチックを当てて、暖かいかどうかを判断してください。家の温熱性能を議論するまでもなく答えが出ます。私は全然無理でした(笑)

(素材はできるだけ近いものを使って実験して下さい。木は熱伝導率が低いので温度差を感じにくいです。金属はその逆です)

便座暖房を弱運転すると30℃位になり、私のお尻ほっぺの表面温度(←測った笑)とほぼ同じになりましたが、これなら快適です。

電気代を消費して便座暖房をするか、洗い替えの面倒さを受け入れて便座カバーを使うか。もしくは冷たさを承知の上でがんばって座るか。

諸々踏まえた上でご自分で総合的に判断されて下さい。

脱衣所と浴室

高断熱でヒートショックのない家というのは、お風呂上がりに温度差でブッ倒れるような寒さがない家という意味です。

とはいえ、それは必ずしも、お風呂上がりに体を拭かずにマッパで動き回れる家というわけではないし、体をろくに温めずにシャワーでチョイ濡れさせた状態で寒さを感じずに体を洗える家というわけでもありません

 

これもぜひ、全身を濡らした状態で所望の温度(例えば23℃)の部屋に出てみてください。贅沢で申し訳ないですが私は全く耐えられません(笑)

しかも、濡れた体は気化熱として多くの熱を奪われますので、風に対して非常に敏感になります。これが意外と最近の住宅では不快感を増す要因として見えてくる可能性があります。

というのも、脱衣所にファンヒーター等を置いたことのある方はご存じと思いますが、濡れた体に風が直接当たると30℃でも寒いです。50℃は欲しいです(笑)

最近のお家は常時換気が行き届いているため、家の気密性にかかわらず脱衣所にも常に微弱な風があります。むしろ、換気計画の特性上、脱衣所は重要な役割を与えられがちで、しかも気積が小さい事から、他の部屋より風速が大きい場合があります

(たとえば寝室の空気を浴室の換気扇で引き込んで排気する24時間換気の計画の場合、広い寝室の空気を狭い脱衣所に導入するため、谷間風のような効果で風速差が生じます)

こうしたことも踏まえて安全側に判断されるほうが良いんじゃないかなかと思います。

 

私は賃貸マンション住まいの頃は、脱衣所と浴室の換気扇を切り、風呂ふたを閉めずに浴室のドアを開放して給湯するという方法で、脱衣所の温湿度をとても高くして快適性を得ていました(無論、脱衣所はカビやクロスの痛みで大変でした)。

新居は、上述した換気風量の都合からだと思いますが、入浴後の脱衣所がマンションよりもやや寒く感じるようになったと言わざるを得ないです。

とはいえ、浴室が広くなったので(1116サイズ→1616サイズ)、バスタオルを浴室に持って入って浴室パイプや窓台に置いておき、浴室で体を拭いてから脱衣所に戻るという動きを取りやすくなり、これによって一定の解決を見ました。暮らし方のほうを変えて家に適応させたというパターンです。

脱衣所にエアコンや床暖房をつけるという方策を取られる場合もあるようで、設備代・電気代はかかりますが、わかりやすく効果があると思います。

まとめ

本来、体感温度を論じる場合、湿度や風量、壁面放射温度など必要なパラメータが色々とあり、事前の検討が難しく思えます。しかし温度だけをパラメータとしても、上記のように実験できることは沢山あります。その実験の結果明らかになったウィークポイントについては、局所的に設備で補うのもアリですし、暮らし方を工夫する(工夫で何とかなるようなプランにする)のもアリですが、いずれにしても家づくりに適切に反映させるのが良いと思います。

もっと暖かい家にしてもらうというのも一つの選択肢だろうと思います。たとえば想定する室内温度が26℃以上になると、もはや環境的には夏さながらですので、話はガラっと変わってくるでしょう。ホテルの室内の温度も、エアコンOFF状態で給気されてくる空気がだいたい25℃以上に制御されていると思います。