ガルバリウム鋼板という素材で作られた外壁についての記事です。
ガルバリウムの外壁とは
外壁や屋根の材質として、このガルバリウム鋼板が使われることがあります.
こういうやつですね.
ガルバリウム鋼板は、言ってしまえばトタンの一種。農家の倉庫なんかで見かけるトタンと同様、強度を持たせるために波型に加工されており、一様に波打った直線的なパターンをもつのが特徴的です。
このため一見ソリッド、シャープ、ないしインダストリアルな印象があるのですが、奥村昭雄さんの思想を引き継ぐ自然素材パッシブライフな人達に好んで使われるようになってからでしょうか(すごい乱暴なクラスタリングで申し訳ない)、木材と組み合わせるデザイン上の相性の良さが見出されているように思えます.
ここからは完全に趣味嗜好の話なんですが、個人的に「レンガ柄」「タイル風」「木目調」といったフェイクテクスチャーがあまり好きではなく、レンガならレンガを積みたいし、木目なら木を張りたい。たとえ現実的でないとしても、その理想だけは心の中に持っておきたいと思っています。
そんな機能と外観の表裏一体性に合理性を感じるオリジナル至上主義的な価値観からすると、凹凸形状に加工された金属外壁には説得力があり、望ましく感じて結構好きなんですよね。木材との組み合わせの不思議な相性の良さも、リアルという文脈を共有しているからなのかもしれません。
しかし、建築会社に「ガルバリウムの外壁にしたい!」と要望を出した時に返ってくる提案というのは、実は会社によってかなりの違いがあると思いました。見かけは似ているのですが、施工に目を向けると別物。
性能面、価格面、デザイン的な仕上がり面のいずれも異なります。
もう少し詳しく理解して、自分の欲しいのはどれなのかをはっきりさせておく事も、家づくりをより良いものにする助けになると思います.
1. 板金仕上げ
ペラペラの金属板を,板金職人が切ったり曲げたりして加工し,ビス等で打って繋げて外壁とするもの.
「軽い」「コスパ高い」「メンテ楽」というのはこの板金タイプを指すことが多い.また,7mとか9mといった高さの建物でも,上下につなぎ目がない長尺一本物の板で仕上げることが可能なのも、この板金タイプ。
トタンやアルミといった他の金属類の外壁材と同様、波加工パターンの大きさと形状で分類されている。また、板の繋げ方によってスパンドレルという特殊な形状もある。
1.1 小波、中波、大波、角波など
波の形。波が細かいほど繊細な感じが出る。小波がよく使われておりスタンダードだと思う。一方、角波は陰影がハッキリしてシャープな感じが出るほか、板の繋ぎ目が陰に隠れて目立ちにくいという長所もある。
1.2 スパンドレル
板の両端が継ぎ手のような形状になっており、板を連結していくためのビスを隠せるようになっている。波の形状は主に角波。
2. 金属サイディング
ガルバリウムで作った表面の裏に断熱材を成型し、いわゆるサイディングボードの形にしたもの。板金タイプほどではないが、窯業系サイディング(一般的なセメント系外壁)やタイルよりも軽量で、ガルバリウムの特徴である高耐久性も同時に得られるとされる。
一般的なサイディング業者さんが取り扱えるため、板金職人がいなくても施工やメンテナンスが可能。この理由から、全国規模で物流や施工の効率化を図っている大手ハウスメーカーで「ガルバリウム」と言った場合は、この金属サイディングを想像されることが多いようだ。
鋼板とサイディングが合わさったような建材なので、板金仕上げと窯業系サイディングのどちらよりも高い。したがって、ハウスメーカーとの打ち合わせで「外壁をガルバにしたいんですけど」と要望を出すと、だいたい見積もりにアップチャージが出ると思う。
2.1 スパンドレル型の金属サイディング
表面を角波のガルバリウム鋼板とし、裏に断熱材が打ってあるもの。
紛らわしいことに、このタイプの外壁材として有名なアイジー工業の「ガルスパン」やリクシルの「スパンサイディング」は、上記1.2の板金ガルバリウムスパンドレルのことではなく、この2.1のスパンドレル型金属サイディングの商品名。途中まで完全に混同してました。
2.2 その他のガルバリウム金属サイディング
サイディングプレートなんだから、もはやトタンみたいな波型形状である意味は無いのでは?という問いかけがあったのかは知らないが、金属表面をインクジェット塗装でパターン成型することで、木目調とかタイル調といった意匠性を出したもの。「金属系サイディングの機能性は認めるが、特有の波のストライプパターンじゃなくてもっと色々なバリエーションが欲しい」、みたいな需要に対応しているのだと思う。
したがって、板金屋さんと取引があり、施工のノウハウを持っている地域の工務店にお願いするのが最適だろうなというのが自分の結論です。
仮に大手ハウスメーカーで同じことをやろうとしても、お金がかかる割に選択肢は狭く、良いところがあまり無いように感じます。