注文住宅の予算とローン審査について述べた記事です。
注文住宅は予算オーバーしやすい
注文住宅にかかるお金はなかなか読み切れません。
注文住宅の建築会社は、「坪単価」等の指標をもとに総費用の試算をしてくれます。
この「坪単価」には明確な定義が無いというのは有名な話で、建物本体(箱)のみの価格を出しているところもあれば,電気設備系の費用も含んでいるところ、はたまた各種オプションを含めた実績ベースの平均値で算出しているところなど、会社によって実に様々です。
しかも、今から家を建てるわけなので、想定外の出来事が色々あります。
- 地盤が弱くて、地質を改良する費用が高かった
- ライフラインの引き込みに追加の工事が必要だった
- お隣さんとの境界がなんやらかんやら
したがって、建築費用を坪単価×建坪で算出して予算を見積もっていると、ほぼ確実に予算オーバーします(笑)
自分から予算を増やしたくなる事も多い
さらに、家づくりを勉強する中で、みずから予算を増やしたくなるというケースも多いです。特に、快適性の向上やランニングコストの低減など、向こう数十年にわたる暮らしやすさを、初期投資を増やすことによって得ようとする提案はよくあります。
「設計契約をしてから見積もり額が増えるのは建築会社の闇」とも言われたりするのかもしれませんが、施主としても勉強をして知識をつけたからこそ希望することですから、建築会社のせいにできないところが多分にあります。
プラン検討が進む中で「今はそんなに便利なものがあるのか!」とか「〇円の初期投資で毎年△円節約できるのか…」等々、新たに視界に入ってくるものがたくさんあります。それを最初(設計申込み前)から施主がすべて理解しておくのは難しいですし、設計申し込みをした時点でそれ以上勉強するな、知らないほうが幸せなこともある、というのはさすがに酷というか、反知性的で嫌ですからね。
他にも、長期優良住宅やZEHなど、特定の条件を満たすように住宅を作ることで、ローンの金利が優遇されたり、助成金を受けられるような制度もあります。いずれにしても、その条件に適合させるために初期投資を増やす必要があり、建てた後で得をするという仕組みです。太陽発電で電気代を稼ぐのも同じ考え方だと言えるでしょう。
住宅ローンは仮審査後の増額は原則的にできない
しかしここで問題が生じます。予算の積み増しを試みる場合、その手段には大きく2通りあります。
- 自己資金を増やす(持ち出しを増やす、頭金を増やすと言い換えてもいいかも)
- ローン融資額を増やす
1は、可能なのであれば何も気にすることは無いでしょう。
問題があるのは2です。
ローンの仮審査後に、ローンの融資額を増加させることは難しいとされているのです。
一般的に、住宅ローンの審査は、1回の審査のワークフローの中で融資枠が固定されるらしく、増額をしたい場合は再審査を申し込んで、前の審査は取り下げることになるようです。
もうちょっと融通が利いてもいいんじゃないかと思いますが、とにかくそうなっているようです(笑)
ここで、もし増額させた予算での融資申込が否決されるとどうなるでしょう。
元の予算の審査も取り下げられていますので、融資枠を全て喪失することになってしまうのです。
このため、不動産屋さんも金融機関の担当者も、ローンの増額申し込みにはかなり消極的です(配偶者がいればその名義で別途ローンを組むとか、親族を頼る等、別の策を提案されるかも)。別の金融機関をあたるという手もありますが、金利や団信のオプションなど、諸条件が変わることは当然念頭に入れておかなければいけません。また、注文住宅は土地の決済と建物の決済のタイミングが異なりますが、土地分の決済が済んだ後で建物分だけを別の金融機関に切り替えるというのも困難だと思われます。
予算と融資枠は別だから,予算から融資枠を決めるべきではない
以上の説明のように、お家づくりの中で、「予算=自分が払おうと思う額」が増えることは充分にあり得ます。
最初から「これ以上は出さないでおこう、この予算の中で絶対になんとかしよう」と決めるのは、その時点では立派なことだと思います。
しかし、家づくりには自分の知らない世界が広がっているわけですから、
「毎月の支払を2000円増やしてアレを入れれば、もっと暮らしが楽になったのに~」
等と後からクヨクヨするのであれば、最初の決意が正しくなかったと言わざるを得ません。
一方、住宅ローンは仮審査時の融資枠から増額させることはできません。
つまり、もし予算の増額分をローンで賄いたいならば、仮審査の融資希望額は、その時の予算を元にして決めるべきではないということです。
住宅ローンの借入可能額は、審査金利や返済負担率という係数を使って試算が可能です。不動産会社の担当者とよく相談して、「通りそうな範囲でできるだけ多めの額」を融資枠として仮審査に出すことをおすすめします。
え、私?
私はどうかというと、直近のボーナスを引っ張ってきて自己資金を増やすことになりました…
手元の流動資金を確保したかったので、ローンを増額できていれば理想だったのですが。ちょっと失敗したという反省を書き残すための記事でした。