家づくりラプソディー

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延床23坪の注文住宅を建てた経緯や暮らしの紹介。理屈っぽい話題多めです

なぜ注文住宅を建てることにしたか:(2)マンションより戸建てか…コストも試算

 前回の記事では、私のエリアでは条件にマッチする中古マンションが見つからないことを書きました。
 この記事では、不動産屋さんに一戸建て住宅を薦められたことをきっかけに、自分なりに勉強して検討した結果をまとめます。
 
 不動産屋さんの話や、自分で調べて得た知識をもとに理解をまとめると、私の希望条件の場合、以下のような理由から戸建てが向いているのではないかと思えてきました。

それぞれ詳しく説明します。

 

第一種低層住宅地域が多いエリアである

 第一種低層住宅地域というのは、地方自治体が定める土地の用途区分の1つです。厳しい高さ制限があり、なおかつ庭や駐車場などの外構部分を作らないといけない区画だと考えて下さい。
 このエリアに住み始めてずっと、
「ビルもろくに立たないし田舎な所だな~。まぁそのおかげで環境が良くて好きなんだけど」
 と思っていたんですが、それもそのはず、環境を良くするために、ビルがあまり建たないように区画整理されているのです。これがマンションが少ない理由の一つです。
 うーん、まさに計画通りにしてやられた!(笑)
 

低層地域の開発が好調に進んでいる

 上記の計画がうまくいってるのかどうなのかは判りませんが、マンションが不足傾向であるのとは対照的に、街を歩くとすぐに戸建て住宅の工事現場や小規模分譲地を見つけることができます。戸建てのほうが探しやすいエリアだったわけです。
 

駐車場はほぼ全ての物件についている

 当初は中古マンションの購入を前提に予算を設定していたのですが、車持ち世帯の場合、中古マンションを買う場合に駐車場の空きがあるかを気にする必要があります。
 しかしマンション自体ですら需要過多気味なエリアですから、駐車場の空きが全くありません。駐車場を利用するには順番待ちをしたり抽選で勝つ必要があり、空きがまわってくるまでは近隣の月極駐車場等を使用する必要があります。
 対照的に、戸建て住宅は少なくとも1家に1台の駐車スペースが確保してある物件がほとんどです。しかも上述した第一種低層地域の特性上、「法規制の限界まで広い家を建てても、たくさん空きスペースが発生し、すべて庭にするわけにもいかないので、なし崩し的に駐車場ができる」みたいな場合も多いので、ほぼ駐車場の心配がありません。
 

マンションよりランニングコストが安い

 マンションは管理費、駐車場代、修繕積立金を合計すると、少なくとも毎月4万円程度の固定費がかかります。「マンションは管理を買うものだ」とは誰が言ったか。
 
 毎月4万円の支払いを30年続けると、1440万円
仮に4000万円のマンションを30年ローンで買っても、ローンを終える頃には5440万円も払っていることになるではありませんか。(実際にはここにローンの利息の支払いも加わります)
 
 戸建て住宅は自分で管理を行うので管理費はかかりません。また、土地全体が自分の所有物なので駐車場代もかかりません。残る修繕積立金は以下に説明しますが、住宅の修繕費用は流動的なため損得の勘定には諸説あり、あくまで私の理解に過ぎませんのでご了承下さい。
 
 戸建て住宅は修繕を自費で行います。このため、修繕費用も自分で積み立てておく必要があります。ただし、戸建てには自動ドア、エレベーター、立体駐車場、変電設備等の共用設備が存在しません。その一方で、マンションでもフローリング、エアコン、水回りといった室内部分の修繕費用は自己負担となるので、修繕積立金以外にも修繕費用がかかります。このため、戸建てのメンテナンス費用がマンションの諸費用よりも高くつくことはあまりないと言われています。
 
 また、マンションの修繕積立金は常時一定ではなく、築年数に応じて次第に上がっていきます。したがって、そこそこ値段のこなれてきたマンションは、物件価格がこなれているかわりに修繕積立金が高くなっている場合が多いです。
 例えば、物件価格が360万円安くなれば30年ローンで月々の支払いが1万円安くなりますが、修繕積立金が1万円高ければ意味がなく、その後に積立金が上がることを考慮するとむしろ損をするかもしれないということです。
 ただしこれは、私のエリアの「マンションの需要が高く価格がなかなか落ちない」という事情が前提となっています。一般的には、修繕積立金が1万円上がる程度に築年数の経った物件は、価格がもっと下がっていると思います。
 
 *余談ですが、マンションが古くなると固定費が上がるという傾向は、「新しいマンションは維持費が安い」という捉え方もできます。この考え方に基づいて、築年数が浅いうちにマンションの売却と引っ越しを繰り返していくことで、常に状態の良い物件に安い維持費で住むことができる、というマンション住みこなしテクがあるようです。車の整備費がかかりはじめる前に新車を乗り継いでいくのと同じイメージでしょう。これは住み続けるコストの損得勘定というよりも、手がかからず状態の良い物件にいつも住んでいたい、という質的な要求に対する一つの解なのだと思います。
 
 …そんなこんなで、結局5000万円出すのなら、新築の建売住宅が十分買えるなぁと思い始めました。
新築であれば住宅ローン控除の総額が中古住宅よりも200万円大きくなるので、予算をさらに200万円増やしてOKということにもなります(ローンの利息を考慮するともう少し厳密に計算すべきですが)。
 
 エリア的には土地の値段は高めですが今後も安定成長しそうなので、たとえ家がボロボロになったとしても土地代だけで立派な資産が残ることが見込まれ、老後に取り得る選択肢もそう狭まりはしないだろうと考えて、新築戸建て住宅を紹介してもらうことになりました。つづく。